第13章 ヒトの体の調節

生態系と人間生活
─ 自然との共存

私たちは生態系から食料・水・空気・木材など、あらゆる恩恵を受けて生きています。ところが、人間活動の急速な拡大が、その土台である生態系そのものを壊しつつあります。
地球温暖化、外来生物の侵入、種の絶滅──こうした問題はなぜ起きるのでしょうか。そして、私たちはどうすれば自然と共存できるのでしょうか。
最終章にあたるこの節では、生態系と人間生活の関わりを俯瞰し、生物基礎の学びを締めくくります。

1人間活動と地球環境問題 ─ 「便利さ」の代償

あなたが今日使ったエネルギーは、どこから来ているでしょうか。電気も交通も、その多くは化石燃料の燃焼に依存しています。この「便利さ」と引き換えに、地球規模の環境問題が次々と生じています。

地球温暖化

化石燃料を燃やすと二酸化炭素(CO2が大量に放出されます。CO2やメタン、亜酸化窒素などは温室効果ガスと呼ばれ、地表から放出される赤外線(熱エネルギー)を吸収して再び地表に向かって放射するため、地球表面の温度が上昇します。これが温室効果です。

大気中のCO2濃度は産業革命前の約280ppmから、現在は約420ppmまで増加しました。これに伴い地球の平均気温が上昇する現象を地球温暖化といいます。海面上昇、異常気象の増加、生態系の変化など、深刻な影響が懸念されています。

オゾン層の破壊

成層圏にあるオゾン層は、生物に有害な紫外線を吸収するはたらきをもちます。しかし、かつて冷蔵庫やエアコンの冷媒に使われていたフロンガスがオゾン層を破壊し、南極上空にオゾンホールが生じました。紫外線の増加は皮膚がんの増加や植物の生育阻害を引き起こします。

酸性雨

化石燃料の燃焼で放出される硫黄酸化物(SOx)や窒素酸化物(NOx)が大気中の水と反応し、pH 5.6以下の酸性雨となって降ります。酸性雨は森林を枯らし、湖沼の生態系に深刻な被害を与えます。

砂漠化

過剰な放牧・耕作・森林伐採により、土壌が劣化して植生が失われ、乾燥地が拡大する現象を砂漠化といいます。アフリカのサヘル地域などで深刻な問題となっています。

富栄養化

生活排水や農業肥料の流入により、河川や湖沼に窒素やリンなどの栄養塩類が過剰に蓄積されることを富栄養化といいます。富栄養化が進行すると、プランクトンが異常増殖し、海域では海面が赤褐色になる赤潮、淡水では水面が青緑色になる水の華(アオコ)が発生します。プランクトンの大量死による酸素消費で水中の溶存酸素が減少し、魚介類が大量死することもあります。

水質汚濁の指標

水質の汚濁の程度を客観的に評価するために、いくつかの指標が用いられます。DO(溶存酸素量)は水中に溶けている酸素の量で、きれいな水ほどDOが高く、汚濁が進むほど微生物の呼吸による酸素消費が増えてDOが低下します。BOD(生物化学的酸素要求量)は、水中の有機物を微生物が分解するときに消費する酸素の量で、河川の汚濁指標として用いられます。BODが高いほど有機物が多く、水が汚れていることを意味します。COD(化学的酸素要求量)は、水中の有機物を化学的に酸化するのに必要な酸素の量で、湖沼や海域の汚濁指標として用いられます。

指標生物(生物学的水質判定)

水質の汚濁の程度は、そこに生息する生物の種類からも判定できます。これを生物学的水質判定といい、判定に用いる生物を指標生物といいます。きれいな水にはヒラタカゲロウ・サワガニ・ナガレトビケラなどが生息し、少し汚れた水にはコガタシマトビケラ・ゲンジボタルの幼虫、汚い水にはミズムシ・ヒル、大変汚い水にはセスジユスリカ・チョウバエの幼虫などが生息します。

自然浄化(自浄作用)

河川に有機物が流入しても、微生物による分解、沈殿、希釈、日光による殺菌などのはたらきによって、水質が下流に向かって徐々に回復していくことがあります。この現象を自然浄化(自浄作用)といいます。汚濁物質が流入した地点ではBODが上昇しDOが低下しますが、下流に進むにつれて有機物が分解されBODが低下し、大気からの酸素の溶け込みによってDOが回復していきます。

内分泌かく乱物質(環境ホルモン)

体内に取り込まれるとホルモンに似たはたらきをし、内分泌系を攪乱する化学物質を内分泌かく乱物質環境ホルモン)といいます。ダイオキシンPCB(ポリ塩化ビフェニル)、有機スズ化合物などが知られています。これらの物質は生物濃縮によって高次消費者に高濃度に蓄積され、生殖機能の異常や発達障害など、生物の正常な発生や成長に悪影響を及ぼすことが報告されています。

農耕地と生態系への影響

農耕地は、人為的に特定の作物だけを育てるため、自然の生態系に比べて種の多様性が著しく低い(生態系の単純化)という特徴があります。単一作物の大規模栽培は特定の害虫が発生しやすく、農薬の大量使用につながります。また、農地に投入された化学肥料が河川に流出すると富栄養化の原因となり、下流の水域生態系にも影響を及ぼします。

熱帯林の消失

熱帯林は地球上で最も生物多様性が高い生態系ですが、焼き畑農業や商業的な大規模開発(牧場・プランテーション・鉱山開発など)によって急速に減少しています。熱帯林が失われると、そこにしか生息しない固有種が絶滅するだけでなく、CO2の吸収源が減少して地球温暖化が加速します。沿岸部のマングローブ林も、エビの養殖池の造成や沿岸開発によって破壊が進んでいます。マングローブ林は多くの魚介類の稚魚の生育場所であり、その消失は沿岸の生態系全体に影響を及ぼします。

都市の生態系

都市は、エネルギーや物質の大部分を外部から供給され、大量の廃棄物や排熱を排出する人工生態系としての特徴をもちます。自然の生態系では物質が循環しますが、都市ではエネルギー・食料・水が一方的に流入し、廃棄物・排水・排気が一方的に排出される「開放系」です。コンクリートやアスファルトで地表が覆われているため、ヒートアイランド現象(周辺部より都市中心部の気温が高くなる現象)が起こり、都市特有の気候や生態系が形成されます。

ポイント:5大環境問題の整理
環境問題おもな原因おもな影響
地球温暖化CO2・メタンなどの増加海面上昇、異常気象、生態系変化
オゾン層破壊フロンガス紫外線増加、皮膚がん、植物被害
酸性雨SOx・NOx森林枯死、湖沼の酸性化
砂漠化過放牧・過耕作・森林伐採植生喪失、食料生産低下
富栄養化生活排水・農業肥料赤潮・アオコ、魚介類の大量死

2生物濃縮 ─ 食物連鎖が「毒」を濃くする

メチル水銀やDDT、PCBなどの物質は、水に溶けにくく脂肪に溶けやすい性質をもち、体内で分解されにくく排出もされにくいという特徴があります。このような物質が食物連鎖を通じて高次の消費者ほど高濃度に蓄積される現象を生物濃縮といいます。

たとえるなら、水中のごく薄い毒がプランクトンに取り込まれ、それを食べる小魚に濃くなり、さらに大型魚へと「濃縮装置」のように受け渡されていくのです。栄養段階が1つ上がるごとに濃度は数倍〜数十倍に高まり、最終消費者であるヒトに深刻な健康被害を及ぼす可能性があります。

生物濃縮は高次消費者ほど深刻になるのか
DDTやメチル水銀は脂溶性で分解・排出されにくい
生物が食物を摂取するたびに、体内の脂肪組織にこれらの物質が蓄積される
高次消費者は多くの低次消費者を食べるため、1個体あたりに大量の有害物質が集中する
結果として、栄養段階が上がるほど体内濃度が飛躍的に上昇する

3外来生物と在来生態系 ─ 「招かれざる客」

本来その地域に分布していなかった生物が、人間の活動によって移入され定着したものを外来生物といいます。外来生物の中には在来生物を捕食したり、生息場所や餌を奪ったり、在来種と交雑して遺伝的な独自性を失わせたりするものがあり、生態系に深刻な影響を及ぼします。

日本では、特に生態系や人の生命・身体、農林水産業に被害を及ぼす、またはそのおそれのある外来生物を特定外来生物として法律(外来生物法、2005年施行)で指定し、飼育・栽培・輸入・放出などを規制しています。

ポイント:日本における外来生物の代表例
外来生物もたらす問題
オオクチバス(ブラックバス)在来魚やその卵を捕食し、淡水生態系を攪乱
ブルーギル在来魚の卵や稚魚を捕食
フイリマングースハブではなくアマミノクロウサギなど希少な在来種を捕食
セイタカアワダチソウ空き地や河川敷で繁茂し、在来植物と競合
セイヨウタンポポ在来タンポポと交雑して雑種をつくり、遺伝的独自性を消失させる
発展:外来生物の問題の3分類 生物基礎

外来生物が在来生態系に及ぼす影響は、大きく次の3つに分類できます。入試では具体例と合わせて問われるため、それぞれの違いを整理しておきましょう。

  • 捕食:在来種を直接食べる(例:オオクチバスによる在来魚の捕食)
  • 競争:餌や生息場所を奪う(例:セイタカアワダチソウがススキと競合)
  • 交雑:在来種と交雑して遺伝的独自性を消失させる(例:セイヨウタンポポと在来タンポポ)

4里山と二次的自然 ─ 人の手が生む多様性

人間と自然がまったく無縁になればよいかというと、そうとも限りません。実は、適度に人の手が入ることで維持されてきた自然環境もあります。

里山とは、人里とその周辺にある農地・草地・雑木林・ため池などがまとまった一帯です。かつて人々は、雑木林の下草を刈り、落ち葉を堆肥として利用し、定期的に伐採して薪炭を得ていました。こうした人の手による適度な攪乱が、遷移の途中段階にある多様な環境(二次的自然)を維持し、結果として多くの動植物の生息場所を提供していたのです。

しかし近年、燃料革命や農業の近代化により、里山に人の手が入らなくなると、遷移が進行して環境が単一化し、かつて里山に依存していた生物が減少しています。里山の保全は、生物多様性の維持にとって重要な課題です。

発展:攪乱と生物多様性の関係 生物基礎

里山が多様な生物を支えるのは、「中規模攪乱仮説」の考え方で理解できます。攪乱がまったくないと遷移が極相まで進んで特定の種が優占し、攪乱が強すぎると多くの種が生存できません。適度な攪乱が遷移の異なる段階を共存させ、種の多様性が最も高くなります。里山はまさにこの「適度な攪乱」を人為的に維持してきた例です。

5生物多様性の保全 ─ 失われつつある「豊かさ」を守る

生態系の中にさまざまな種が存在し、複雑な種間関係を築いていることを生物多様性といいます。生物多様性は、遺伝子の多様性(同じ種内の遺伝的な変異)、種の多様性(生態系を構成する種の多様さ)、生態系の多様性(さまざまな生態系が存在すること)の3つの階層で捉えられます。

絶滅危惧種とレッドデータブック

生息環境の破壊、外来生物の移入、乱獲などにより、絶滅のおそれがある生物を絶滅危惧種といいます。絶滅危惧種の危険性の程度を判定し、分布や生息状況を記載したものをレッドリスト(リスト形式)やレッドデータブック(書籍形式)といいます。

生態系サービス

私たちが生態系から受ける恩恵を生態系サービスといいます。食料・水・木材などの供給サービス、気候調整・水質浄化などの調整サービス、レクリエーション・精神的充足などの文化的サービス、そしてこれら全ての土台となる光合成・物質循環・土壌形成などの基盤サービスに分類されます。生態系が破壊されれば、これらのサービスは失われてしまいます。

おもな国際条約

生物多様性の保全に向け、国際的な取り組みが進められています。

条約名採択年おもな内容
ワシントン条約(CITES)1973年絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制
ラムサール条約1971年水鳥の生息地として重要な湿地の保全と賢明な利用
生物多様性条約1992年生物多様性の保全、持続可能な利用、遺伝資源から生じる利益の公正な配分

持続可能な開発とSDGs

将来の世代のニーズを損なうことなく、現在の世代のニーズを満たす開発を持続可能な開発(Sustainable Development)といいます。2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)には、陸域・海洋の生態系保全に関する目標(目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」)が含まれています。

環境アセスメント

開発事業を行う前に、その事業が生態系に及ぼす影響を事前に調査・予測・評価し、環境保全の観点からよりよい事業計画を作成する制度を環境アセスメント(環境影響評価)といいます。

ポイント:生物多様性の3つの階層と保全の枠組み
  • 遺伝子の多様性:同じ種内の遺伝的変異 → 環境変化への適応力の源
  • 種の多様性:生態系を構成する種の豊かさ → 食物網の安定性に関わる
  • 生態系の多様性:森林・湿地・海洋など多様な生態系の存在 → 地球全体の恒常性を維持
  • 保全の手段:レッドデータブック、国際条約(ワシントン・ラムサール・生物多様性条約)、環境アセスメント、SDGs

6この章を俯瞰する ─ 生態系の「つながり」を総括する

この節で学んだ環境問題・外来生物・生物多様性の保全は、いずれも生態系の「つながり」が崩れたときに起きる問題です。生態系は物質循環とエネルギーの流れを通じて一つのまとまりとして機能しており、一部の改変が全体に波及します。生物基礎で学んだ「恒常性」は、ヒトの体だけでなく、生態系レベルでも成り立っているのです。

この章と他の章のつながり

他の章へのつながりマップ

  • 物質循環とエネルギー → 12-1:温暖化の本質は炭素循環の攪乱。化石燃料の燃焼でCO2が大気に過剰放出される。
  • 生態系のバランス → 12-2:外来生物の侵入は食物網のバランスを崩し、キーストーン種の役割を理解する上で重要。
  • 植生の遷移 → 11-3:里山は人為的攪乱によって遷移の途中段階を維持する仕組み。
  • 体液の恒常性 → 13-1, 13-2:ヒトの体の恒常性と生態系の復元力は、「フィードバックによる安定維持」という共通原理をもつ。

7まとめ

  • 地球温暖化:温室効果ガス(CO2・メタン等)の増加により地球の平均気温が上昇する現象
  • オゾン層破壊:フロンガスが成層圏のオゾン層を破壊し、有害紫外線が増加する
  • 酸性雨:SOx・NOxが大気中の水と反応し、pH 5.6以下の雨となる
  • 富栄養化:栄養塩類の過剰流入によりプランクトンが異常増殖し、赤潮・アオコが発生する
  • 水質汚濁の指標:DO(溶存酸素量)、BOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)で水質を評価
  • 指標生物:水質の汚濁度を生息する生物の種類で判定する(ヒラタカゲロウ=きれいな水 等)
  • 自然浄化:微生物の分解や希釈・沈殿により、河川の水質が下流で徐々に回復する現象
  • 内分泌かく乱物質:ダイオキシン・PCB等がホルモン様のはたらきで生物の内分泌系を攪乱する
  • 農耕地の影響:生態系の単純化、農薬の使用、化学肥料の流出による富栄養化
  • 熱帯林の消失:焼き畑農業・大規模開発により生物多様性の宝庫が急速に減少。マングローブ林の破壊も深刻
  • 都市の生態系:エネルギー・物質を外部に依存する人工生態系。ヒートアイランド現象が特徴
  • 生物濃縮:分解・排出されにくい物質が食物連鎖を通じて高次消費者に高濃度に蓄積される
  • 外来生物:人間活動により移入・定着した生物。特定外来生物は外来生物法で規制される
  • 里山:人の手による適度な攪乱で維持される二次的自然。生物多様性の維持に重要
  • 生物多様性:遺伝子・種・生態系の3階層で捉える。レッドデータブック・国際条約で保全
  • 生態系サービス:供給・調整・文化的・基盤の4つに分類される人間が生態系から受ける恩恵

8確認テスト

この節で学んだ基本事項を確認しましょう。

Q1

温室効果ガスを2つ挙げ、地球温暖化が起きるしくみを説明せよ。

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解答

二酸化炭素とメタン。これらの温室効果ガスが大気中に増加すると、地表から放出される赤外線(熱エネルギー)を吸収して再び地表に放射するため、地球表面の温度が上昇する。

Q2

「生物濃縮」とは何か。「食物連鎖」「高次消費者」の語を用いて説明せよ。

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解答

分解・排出されにくい物質(DDT、メチル水銀など)が食物連鎖を通じて生体内に蓄積され、高次消費者ほど高濃度に濃縮される現象。

Q3

外来生物が在来生態系に及ぼす影響を3つの分類で述べよ。それぞれ具体例を1つずつ挙げよ。

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解答

(1)捕食:オオクチバスが在来魚を捕食する。(2)競争:セイタカアワダチソウが在来植物と生息場所を競合する。(3)交雑:セイヨウタンポポが在来タンポポと交雑して遺伝的独自性を消失させる。

Q4

生物多様性の3つの階層をそれぞれ答えよ。

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解答

遺伝子の多様性、種の多様性、生態系の多様性。

Q5

ワシントン条約、ラムサール条約、生物多様性条約のそれぞれの目的を簡潔に述べよ。

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解答

ワシントン条約:絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制する。ラムサール条約:水鳥の生息地として重要な湿地を保全し賢明に利用する。生物多様性条約:生物多様性の保全、持続可能な利用、遺伝資源の利益の公正な配分を目的とする。

Q6

BODとCODの違いを述べ、それぞれどのような水域の水質指標として用いられるか答えよ。

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解答

BOD(生物化学的酸素要求量)は微生物が有機物を分解する際に消費する酸素量で、河川の水質指標として用いられる。COD(化学的酸素要求量)は有機物を化学的に酸化するのに必要な酸素量で、湖沼や海域の水質指標として用いられる。

Q7

内分泌かく乱物質(環境ホルモン)とは何か。具体例を1つ挙げて説明せよ。

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解答

体内に取り込まれるとホルモンに似たはたらきをし、生物の内分泌系を攪乱する化学物質のこと。例えばダイオキシンは、生物濃縮により高次消費者に蓄積し、生殖機能の異常などを引き起こす。

9入試問題演習

この節で学んだ内容を、入試形式の問題で確認しましょう。

A 基礎レベル

13-3-1A 基礎知識穴埋め

次の文中の空欄( ア )〜( カ )に入る適切な語句を答えよ。

化石燃料の大量消費により、大気中の( ア )濃度が増加し、( イ )効果が強まることで( ウ )が進行している。また、冷媒として使われた( エ )は成層圏の( オ )を破壊し、南極上空に( カ )が生じた。

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解答

ア:二酸化炭素(CO2) イ:温室 ウ:地球温暖化 エ:フロンガス オ:オゾン層 カ:オゾンホール

解説

温室効果ガスの代表はCO2で、他にメタンや亜酸化窒素があります。フロンガスはオゾン層を破壊しますが、温室効果ガスでもあります。「CO2→温暖化」「フロン→オゾン層破壊」の対応関係が頻出です。

13-3-2A 基礎知識選択

外来生物に関する記述として正しいものを、次の(1)〜(5)からすべて選べ。

(1) ボタンウキクサは水面に繁茂して在来の水草を抑圧する。

(2) セイヨウタンポポは在来のタンポポと交雑して雑種をつくる。

(3) セイタカアワダチソウは極相林で優占種と競合する。

(4) オオクチバスは在来魚やその卵を捕食する。

(5) フイリマングースはハブを効率よく捕食して個体数を減らした。

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解答

(1)、(2)、(4)

解説

(3) セイタカアワダチソウは遷移の初期段階の空き地や河川敷でススキなどと競合するもので、極相林では競合しません。(5) フイリマングースはハブを効率よく捕食せず、むしろアマミノクロウサギなどの希少な在来種を捕食して問題になりました。外来生物の具体的な影響と導入の経緯を正確に理解しているかが問われます。

B 標準レベル

13-3-3B 標準論述

(1) 富栄養化が水域の生態系に及ぼす影響を、「栄養塩類」「プランクトン」「溶存酸素」の語を用いて60字以内で述べよ。

(2) 里山が生物多様性の維持に果たす役割を、「攪乱」「遷移」の語を用いて60字以内で述べよ。

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解答

(1) 栄養塩類の過剰な流入によりプランクトンが異常増殖し、その大量死と分解で溶存酸素が減少して魚介類が死滅する。(51字)

(2) 里山では人為的な攪乱により遷移の途中段階が維持され、多様な環境が共存して生物多様性が高く保たれる。(49字)

解説

(1) 富栄養化→プランクトン異常増殖→死滅・分解→酸素消費→魚介類の死という因果関係を順序よく述べることが重要です。

(2) 里山の本質は「適度な人為的攪乱が遷移の進行を止め、多様な環境を維持している」点です。中規模攪乱仮説と関連づけると理解が深まります。

採点ポイント(各問5点満点の場合)
  • (1) 栄養塩類の過剰流入(1点)、プランクトンの異常増殖(2点)、溶存酸素の減少→魚介類への影響(2点)
  • (2) 人為的攪乱に言及(2点)、遷移の途中段階の維持(2点)、生物多様性の維持(1点)

C 発展レベル

13-3-4C 発展論述考察

ある湖では、殺虫剤DDTが環境中に微量(0.000003ppm)存在していた。この湖の生態系で測定したDDT濃度は以下の通りであった。

栄養段階DDT濃度(ppm)
水中0.000003
植物プランクトン0.04
小型魚類0.5
大型魚類2.0
魚食性鳥類25.0

(1) この現象を何というか。

(2) 水中から魚食性鳥類にかけて、DDT濃度は約何倍に濃縮されているか。

(3) DDTのような物質で生物濃縮が起きる理由を、物質の化学的性質と関連づけて60字以内で述べよ。

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解答

(1) 生物濃縮

(2) 約830万倍(25.0 ÷ 0.000003 ≒ 8,300,000)

(3) DDTは脂溶性で水に溶けにくく体内で分解・排出されにくいため、食物連鎖を通じて各栄養段階で蓄積が進み濃縮される。(54字)

解説

(1)(2) 水中のごく微量な物質が、食物連鎖の各段階を経て数百万倍にまで濃縮されるという事実が、生物濃縮の恐ろしさを示しています。

(3) 生物濃縮が起きる条件は「脂溶性」「分解されにくい」「排出されにくい」の3つです。論述では3つの条件と食物連鎖を通じた蓄積の両方に言及することが求められます。

採点ポイント((3)の論述・6点満点の場合)
  • 脂溶性である(分解されにくい・排出されにくい)ことに言及(3点)
  • 食物連鎖を通じた蓄積・濃縮に言及(3点)